2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720173
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Research Institution | Graduate School of Film Producing |
Principal Investigator |
加藤 厚子 Graduate School of Film Producing, 映画プロデュース研究科, 准教授 (00405044)
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Keywords | 日本史 / 現代 / 産業 / 経営 / 映画 / 芸術 / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
平成20年度は過度経済力集中排除法 (集排法) 関連資料 (国立公文書館所蔵) 、GHQ/ SCAP資料 (国立国会図書館憲政資料室所蔵) の収集を継続実施し、分析・検討を行った。 集排法関連資料については、1950年代に日本の映画市場を構成していた松竹・東宝・大映・日活・東横映画の各社関連資料を比較することにより、集排法に基づく会社指定への異議申し立て・再編成計画の過程において、東宝が他社と異なる立場をとっていたことが明らかになった.東宝は従来の産業構造とは異質の再編成計画を提出しており、これは単に東宝争議の影響というだけではなく、経営理念の差異に起因すると推測され、1950年代後半のいわゆる「日本映画黄金期」の実態を産業の側面から明確化する上で、看過できない事実であると考えられる。 また集排法関連資料とGHQ/SCAP資料との比較分析を行い、持株会社整理委員会 (HCLC) 宛と、経済科学局 (ESS) 宛では、記載内容に差異があることが判明した。従来、配給・サービス業に対する過度経済力集中排除の実施過程は部分的にしか明確化されておらず、特にHCLCとESSとの連携については不明な部分が多い。比較分析は両者の連携を含めた経済政策構想の明確化にも有意であり、今後も継続して行う。 異議申し立て過程では、各社の芸術・文化産業、マスメディア産業に対する認識に差異が見られる。本年度においては、上記分野の全体状況を把握するための基礎作業として、占領期の放送について考察し、通史形態の論文を執筆・発表した。
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Research Products
(1 results)