2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720175
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Research Institution | Niigata Prefectural Museum of History |
Principal Investigator |
前嶋 敏 Niigata Prefectural Museum of History, 学芸課, 研究員 (30373476)
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Keywords | 日本史 / 宗教 / 地域信仰 |
Research Abstract |
中世の地域社会における多くの行動様式に対しては,信仰のありようが深く関わっており,これら地域における信仰形態を検討することによって,地域社会を復元することが可能になる。そこでは信仰関係の対象物およびそれにかかる信仰形態に関するアプローチの深化が求められる。しかし,これらの検討については,ほんらい前提になるはずの地域信仰のあり方の研究が製作された対象物そのものによって規定されてきた。そこで本研究においては,越後国内における信仰関係の対象物およびその製作に関わる社会的な背景,また社会関係を検討し,信仰のあり方を解明する。 平成19年度においては,越後のとくに中越地域における信仰関連の伝世品および出土遺物を中心に,その銘等についての検討を行い,また古文書調査から信仰にかかる検討を行った。そこでは,越後永正の乱期の中越地区において,信濃川を通じて越後へとわたってきた僧侶による複数の仏像製作がなされたことも推測された。その要請は在地土豪がおこなったものと推測され,紀年銘から同一僧侶による製作でも10年以上の開きが確認されたことから,戦乱期における継続的な信仰および寺院運営がこの地域でも考えられた。また,関連寺院から戦国期以前の鰐口,平安期の仏像(江戸期の補修あり)などが確認され,その地域における信仰形態についてさらに検討の必要性が確認された。 なお古文書の検討にあたっては,上杉氏に関わる古文書のうち,起請文のとくに神文から神仏に関する検討を継続中である。これらについて,地域寺社等を含めた検討を進めていく予定である。
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