2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720180
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 真 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (60400610)
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Keywords | 旗人 / 塩商 / 内務府 / 包衣 / 族譜 / 八旗 / 財政 / 浙江 |
Research Abstract |
本研究「清朝の八旗と塩政に関する研究」は,満洲族王朝・清朝(1616〜1912)の支配層である旗人集団が,いかにして国家財政の重要収入源である塩政(食塩の生産・販運)に関与していたかを明らかにすることで,清朝の特質を指摘しようとするものである。 平成19年度は,旗人と塩商との繋がりを示す事例研究として,まず査氏なる塩商一族を分析対象とした。当初は査氏一族の中,天津を中心として塩政に関与していた長蘆塩商査氏の一族(宛平査氏)を取り上げる予定であった。しかし研究の進行過程で,まず基礎的作業として査氏が天津に進出する以前の段階,すなわち出身地浙江省海寧県において当該一族がどのような勢力を有していたかを分析する必要が認められた。そのため,夏季休業期間中に浙江図書館に赴いて,海寧査氏の家譜の調査を行い,当該氏族の系譜を確認した。なおこの家譜は康煕年間に編纂されたもので,当該図書館にのみ現存が確認されている。また,塩商と結託していた旗人の特徴を明らかにするため,皇帝家の家政機関である内務府に所属する旗人たち(包衣,ボーイ=ニヤルマ)に注目してその動向を追い,かれら包衣が塩政に深く関与しており,皇帝の側近として,塩商と密接な関係を構築していたことをあらためて確認した。これらの成果は,従来の研究では積極的に結び付けられることのなかった財政史と八旗史との融合を積極的に意図したものであり,今後の研究の継続に充分に生かすことができると考えられる。
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