2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井坂 理穂 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70272490)
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Keywords | インド / グジャラート / 近現代 / 歴史認識 / ナショナリズム / インド文学 |
Research Abstract |
平成19年度は、20世紀前半のグジャラート地方における代表的な歴史記述に関する資料収集・分析を行った。平成19年9月、及び平成20年3月にそれぞれイギリス、インドへの海外出張を行い、当時用いられた学校教科書や、歴史上のできごとを題材とした著名な文学作品などを集めた。このうち、インド独立後、現在にいたるまで、グジャラートの歴史認識に大きな影響を与えた女学者・政治家であるK.M.ムンシー(1887-1971)の作品に関しては、グジャラートの研究者たちの助言を得ながら分析を進めている。ムンシーの例をはじめとして、これらの資料からは、20世紀におけるナショナリズム台頭を背景に、グジャラート史、インド史、世界史についての歴史記述が、それまで以上に互いに連関し、影響を及ぼしあいながら再構成されていく過程が顕著に現れている。この過程をさらに解明することは、歴史認識の変遷を明らかにするのみならず、インド社会における様々な集団アイデンティティのあり方が、いかに再編されていったのかを考察するうえでも重要である。これまでの成果の一部は、近代化に関する国際ワークショップでの報告や、近刊予定の論文にも反映させている。次年度以降の研究では、20世紀終わりから現在にいたるまでの歴史記述・歴史認識に焦点をあてることを予定しており、平成19年度にはその準備作業として、現在グジャラートで広く流通している歴史書や、新聞に連載されている歴史関連のコラム、歴史に関する小説、児童書などを部分的に収集した。
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Research Products
(1 results)