2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井坂 理穂 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70272490)
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Keywords | インド / グジャラート / 近現代 / 歴史認識 / ナショナリズム / インド文学 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
平成20年度は、これまでの研究成果の一部をまとめ、国内外の学会で発表した。また、平成19年度に引き続き、20世紀のグジャラート地方における歴史記述に関する資料収集・分析を行った。なかでも1930年代から60年代までを中心に、政治情勢の変化(ナショナリズムの台頭、インド・パキスタン分離独立、独立後の州再編など)が歴史記述に与えた影響について検討した。その結果、この時代に見られる諸現象、たとえば宗教やカースト・コミュニティ間の関係の変化、「アーリヤ」概念をめぐる議論の台頭、グジャラート・インド間、あるいはグジャラートとその隣接地域との問の対立などが、同時代の歴史記述のなかにいかに反映されていたのかが明らかになった。また、こうした分析を行うなかで、歴史記述に見られるグジャラート内部の多様性、とりわけ地域や世代、コミュニティごとの差異が明らかになり、本研究を進めるうえでの重要な示唆を得ることができた。今後はさらに、ここで取り上げたような代表的な歴史記述を、諸集団や個人がいかに解釈し、ときには利用していったのかについて検討する予定である。 このほかに、研究成果を論文としてまとめる作業もあわせて行った。前年度の国際ワークショップで行った報告を英語論文として発表したほか、平成20年度に行った諸報告についても、同じ学会で報告した研究者たちとともに、論文集として出版する準備を進めている。
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Research Products
(4 results)