2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井坂 理穂 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70272490)
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Keywords | インド / グジャラート / 近現代 / 歴史認識 / ナショナリズム / インド文学 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
平成21年度は、前年度に引き続き資料の収集・分析を行うとともに、成果の一部を国内の学会で発表した。また、本研究での成果を踏まえながら、以前にワークショップで報告した研究内容を進展させ、英語論文として学会誌に発表した。 資料収集の作業は、7月にイギリス(ロンドン、オクスフォード)、12月にインド(デリー、ムンバイ、アフマダーバード)で行った。具体的には、20世紀後半のインドにおける州再編の過程が歴史記述に及ぼした影響に着目し、グジャラート地方が1960年に「州」としての地位を確立するまでの過程で、グジャラートの歴史が再構築されていく様子を、政府や政治組織の資料、同時代の人々の自伝・回想録、新聞・雑誌の関連記事などから追った。とりわけ、グジャラート州の地理的境界をめぐる激しい議論は、インド西部の諸勢力間の歴史認識の相違を明らかにすることとなり、その後の歴史記述にも大きな影響を残した。また、州再編の過程では、境界をめぐる対立から様々な政治・社会混乱が生じており、このことも人々の歴史認識・歴史記述に影響を与えたと思われる。12月のインドにおける調査では、こうした混乱を直に体験した人々へのインタビューも行い、彼らの語りから、断片的なかたちではあるものの、彼らの歴史認識をとらえる手がかりを得た。 このほか、平成21年度後半には、南アジアの歴史認識・歴史記述を分析した近年の研究を参照しながら、最終年度の総括に向けての準備を進めた。とりわけ、小説・絵画・漫画・映画などの「娯楽」のなかに表された歴史認識に関して、いくつかの興味深い研究が出されており、年度末にはこれらをもとにしながら補足的な資料収集を行った。
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Research Products
(2 results)