2009 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア社会のイスラーム化に関する歴史文献学的研究
Project/Area Number |
19720184
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真下 裕之 Kobe University, 人文学研究科, 准教授 (70303899)
|
Keywords | 南アジア / イスラーム / 宗教 / 歴史 / 聖者 / ペルシア語 / 手写本 |
Research Abstract |
本研究の基礎的な素材となる歴史文献はその多くがいまだ公刊されておらず、手写本の状態で世界各地に所蔵されている。本年度はパキスタンに赴き、これらの関係資料を調査する予定であったが、渡航計画中に調査予定地のラホールでテロ事件が発生した。現地の事情通に状況を照会したところ、渡航を見合わせた方がよいとの判断を得たので、パキスタンでの調査は来年度に延期することにした。この欠を補うため、イギリス、フランスの研究機関に所蔵される手写本史料のマイクロフィルム複写を収集することに注力した(その他)。これらによって複写を得られた資料は、ムガル帝国時代のペルシア語古文書資料、ベンガル地方のペルシア語地方史資料、ムガル帝国のペルシア語王朝年代記などである。これらは電子的な画像データに転換して(その他)、調査・整理中である。その作業はなお進行中であるが、南アジア社会のイスラーム化における推進力の一つであったイスラーム神秘主義の聖人たちの働きばかりでなく、彼らを取り巻く政治権力者たちの動向についても、いくつかの貴重な情報を得つつあるところである。また来年度は研究計画の最終年度にあたるため、これまでに本研究で得られた知見を研究史の中に定位させるため、南アジア史、イスラーム史関係の研究文献も昨年度以上に多数収集し、所属機関に備えた(物品費)。また本研究のテーマと強く関連する、南アジアとイスラーム世界諸地域との文化交流の諸相を考察する観点から、南アジアの一港市を拠点に行われたメッカ巡礼の一側面について本研究で得られた知見を参照しつつ調査し、その知見を論文として公表した。また本研究が取り扱う歴史文献のほとんどがペルシア語で書かれたことに鑑み、南アジアにおけるペルシア語文化の展開についても本研究で得られた知見を参照しつつ調査し、その知見を論文として公表した。
|
Research Products
(2 results)