2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720187
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
上田 貴子 Kinki University, 文芸学部, 講師 (00411653)
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Keywords | 華僑 / 華人 / 山東 / 移民 / 出稼ぎ / 人口移動 / 中国東北 / 東北アジア |
Research Abstract |
本課題は近代東北アジアにおける中国系移民の受容と排除を対象として調査分析を行う。 特にその場合に対象となる中国系移民は山東半島北岸を出身地とし、一般に山東幇とよばれるグループである。本年度は、この移民の変遷について「東北アジアにおける中国人移民の変遷1860-1945」(蘭信三編『日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学』所収)をまとめた。また、中国におけるロシアの拠点である哈爾濱での中国系移民の社会について、研究セミナー「ハルビン-異種混交の街」で研究報口を行った。 調査活動は以下2点を中心に行った。 まず9月には中国北京国家図書館、遼寧省档案館にて史料調査を行った。ここでは、1920年代に急成長した中国東北地域の中心都市である奉天(現在の瀋陽)において外から流入する移民を受け入れた同善堂の活動について調べ、移民がどのように受容あるいは排除されるかについて分析するための史料を閲覧収集した。 また、山東幇の交易ネットワークの機能を分析するため、日本国内の図書館が所蔵の史料を中心に上海、奉天、大連、大阪に拠点をもつ山東出身の貿易商の活動について調査を行った。 以上の活動のなかで明らかになったことは、20世紀のはじめの時期には、東北アジアにおいて山東出身者の同郷を紐帯とした移民が多く、同郷紐帯が移民の安全を保障していた。しかし、1920年代後半以降、このような紐帯が希薄な移民が増加し、移民を仲介するものが、利己的な動きをするようになり、リスクの高い移民が増加するということである。
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Research Products
(2 results)