2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国における戦後処理の再考察-戦犯裁判と漢奸裁判の実証比較研究-
Project/Area Number |
19720189
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
和田 英穂 Shokei University, 文化言語学部, 講師 (90441899)
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Keywords | 戦後処理 / 戦犯 / 漢奸 |
Research Abstract |
平成19年度研究成果は以下のとおり。 (1)漢奸裁判に関する史資料情報と先行研究のリスト作成 特にこれまで断片的に知られていた漢奸裁判に関する史資料情報をまとめたことで、今後の関連研究の基礎となり得る。しかし依然中国各地に散らばる史資料を全て把握した訳ではなく、今後も継続する必要がある。 (2)日本・中国・台湾の関連史資料の収集 特に中国では戦後漢奸が多く出たことが考えられる北京市档案館と山西省档案館で資料調査を実施した。前者では事例研究となり得る資料を幾つか確認できた。後者では、現地研究者の協力もあり期待したが、突然閲覧不能となった。同档案館の職員と話す機会を得たが、同館には関連資料は所蔵していないとのこと。しかし、大陸における档案館の情勢はめまぐるしく変わるため、今後も情報収集を継続する必要がある。また、山西省において太原市近隣の旧日本軍駐留地区で「戦犯」「漢奸」に関して初歩的な聞き取り調査も実施した。戦後、戦犯・漢奸の追及がおこなわれた様子を感じることができたが、いずれも「漢奸」に対するタブー視と、「戦犯」と「漢奸」が混同していることがうかがえた。 台湾では、台湾国防部および台湾档案管理局で資料調査を実施した。前者では、実際の裁判における判決書を多数収集することができた。後者では、裁判の起案書、判決書および幾つかの法廷における速記録や告訴状なども収集できた。数万とも言われる漢奸裁判の資料を網羅するのは困難を極めるが、全体を概観し、数例の事例研究をおこなう分の資料(5000枚以上)を収集することができた。 (3)史資料の分析と成果の発表 予想外に膨大な資料を収集できたことから、19年度は資料分析にほとんどを費やし、一部口頭発表をおこなったが、論文による成果の発表には至らなかった。20年度前半に積極的に発表していく予定である。
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