2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世イギリスの移民支援策からみる移民とホスト社会の意識形成
Project/Area Number |
19720194
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 順子 Kumamoto University, 文学部, 准教授 (00324731)
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Keywords | 近世イギリス / 移民 / 国籍 / 外国人教会 / 帰化法 / 法的地位 / アイデンティティ / 慈善活動 |
Research Abstract |
平成20年度においても、年度前半は近世イングランド在英移民とホスト社会の彼らへの対応にかかる史料・文献の収集を行った。また、ロンドン滞在期間中にはHuguenot Societyの例会に出席し、ユグノー研究の専門家と意見交換を行った。さらに、ロンドン歴史学研究所(IHR)で開催されるセミナーにも参加し、本研究テーマに関する問題について、当該研究の研究者と情報や意見の交換を行った。 実施した具体的な研究内容は以下の通りである。(1)Huguenot Society Library、British Library、National Archivesなどの文書館において、外国人への福祉策やその関連委員会、プファルツ出身の移民に関する史料について、調査と収集を行い、漸次その精読を行った。(2)近世ロンドンにおける多文化共生のあり方を、外国人教会とそのコミュニティ、それらに対応するホスト社会の相互作用から明らかにするべく研究を進め、それに関する論考の執筆を開始した。(3)近世における移民政策を検討する上で重要な帰化法の問題について、17世紀前半の帰化・デニズン取得者の実態を史料より分析し、論考にまとめた。それによって17世紀後半から18世紀初頭の事例との比較を行うことが可能になった。(4)近世イングランドの移民政策、ナショナルアイデンティティを考えるうえで重要なファクターを成すのが18世紀初頭のプファルツ出身の移民であるが、今年度は彼らに関するホスト社会の対応について研究を行った結果、「哀れなプファルツ移民」はホスト社会によって作られた(また同時に移民が作り上げた)イメージであり、彼らの実態とは乖離したものであったことが明らかになった。これについては、国際学会で報告を行った。
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Research Products
(2 results)