2007 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代集落構造の研究-考古学資料の定量化と可視化-
Project/Area Number |
19720200
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 智則 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 助教 (30400196)
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Keywords | 縄文時代 / 集落 / データベース |
Research Abstract |
本年度は、考古学資料の定量化を中心とした課題を達成するため、既存のデータベース構築を推進し、北上川流域以外の地域あるいは縄文時代前期の時期の集落遺跡について、データ入力を行った。そして、竪穴住居跡の面積の計測、時期別の形状出現頻度、立地、出土遺物の組成の定量的な分析を進めた。また、集落遺跡分析方法の課題について総括を行った。 北上川流域における縄文時代前期の集落遺跡の立地、出土石器のあり方からは、中期以降とは全く異なるあり方を示すことができた。とくに北上川支流の和賀川流域の同時期の集落において、河川漁撈に関連すると考えられる石錘の出現頻度が遺跡ごとに明瞭に異なり、こうしたあり方から、立地に規制された生業形態の差異を推察することができた。この成果報告については、2008年に研究発表を行った。 さらに、馬淵川流域の中期後半の大規模集落遺跡である田中遺跡群を事例として、竪穴住居跡の形状・面積・炉跡形態から、北上川流域との差異について言及した。当該時期に特徴的である複式炉を含めた炉形態は、北部では石囲部、南部では土器埋設部を呈することが理解できた。こうした成果に対して、その他の集落構造の属性では地域的変化は認められないことから、炉跡の形状に地域的特徴がもっとも現れていることを指摘した。この成果は、『博古研究』30号にて公開した。 また、土器形状の分析のため、土器計測方法の確立を目指し、実験的な分析を試みた。土器の高さ・幅などの法量のほか、底部から口縁部あるいは括れ部、胴部最大径部などの特徴的な各地点への角度を計測し、全体的なプロポーションの形状計測に努めた。その結果、中期末葉から後期にかけて、土器のプロポーションが長方形に近くなる形状へと徐々に変質していく様相が定量的に把握することができた。この成果については、『考古学談叢』にて公開したが、現在もなお継続中である。
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Research Products
(4 results)