2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720215
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
宮元 香織 Kitakyushu Museum of Natural History and Human History, 歴史課, 学芸員 (80435908)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 海人 / 古代国家 / 後期古墳 / 横穴式石室 / 島嶼部 / 海浜部 |
Research Abstract |
本研究の目的は,島嶼部に造られた古墳を「地方」の象徴,海から離れた内陸の古墳を「中央」の象徴ととらえ,中央と地方というキイワードをもとに,古墳時代後期の社会構造について検討するものである。 本年度の研究成果の第一は,海浜部古墳にかんして九州北部を中心に論文にまとめ,また北陸沿岸部を伝う後期古墳についても日本考古学協会で研究発表し,論文を著したことである。これらの論文において,海浜部古墳にはいくつかの位相-広域的なものか,狭い範囲のものか-がみられること,それは後期古墳の埋葬施設の特徴を検討することで判断できること,などの新しい視点を提示できた。これにより今後,他地域の海浜部古墳について検討する際の基本的な点を整理できたと考えている。 第二は海浜部古墳に関する測量調査の継続と,新たな測量調査を開始したことである。2006年におこなった愛知県佐久島における石室測量調査の成果を雑誌に投稿した(2007年刊行)が,調査については次年度も引き続きおこなう予定としている。いっぽう,北九州市の曽根干潟に存在する小島である間島において,すでに存在が確認されていたものの,情報がまったくなかった間島古墳群にかんして,墳丘の平板測量をおこなっている。今回の調査により6基といわれていた古墳は,10数基に増える見込みである。いずれの調査も継続中であるが,研究期間中における終了と論文投稿による報告を目指している。 第三は列島各地の島嶼部古墳の調査をおこなったことである。東京湾周辺の古墳,房総半島の古墳,伊勢、志摩の離島に造られた古墳,熊本・八代海周辺の古墳などの調査をすでに終えた。また,北九州市内の離島である藍島と貝島へ赴き,海人の墓といわれた後期古墳を確認し,写真撮影と遺構の観察をおこなった。これらの調査は次年度以降も継続していく予定である。
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Research Products
(4 results)