2008 Fiscal Year Annual Research Report
干潟における生物採集活動および環境認識の世代差とその地域的背景
Project/Area Number |
19720223
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池口 明子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 准教授 (20387905)
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Keywords | 干潟 / 資源利用 / 環境認識 / 世代差 / 沖縄 |
Research Abstract |
1) 干潟の資源利用調査 昨年度に引き続き, 羽地内海沿岸の一集落において, 利用される生物資源と採集方法について参与観察と聞き取り調査をおこなった.その結果, 1940年代においては, 羽地内海に広く見られた海草藻場の代表的な貝である, ニッコウガイが採集されていたことや, その利用には男性からの忌避がみられたことなどがあきらかになった.これは, 陸域の農業活動時間との兼ね合いで貝類採集の労働が必ずしも正当化されたものではなかったことを示していると考えられる. 2) 現代的干潟利用の調査 エコツーリズムや環境学習など, 近年活発となってきた干潟利用の実態調査をおこなった. また, 自然再生協議会など, 自然再生に向けた取り組みについても資料収集をおこなった. その結果, エコツーリズムではマングローブ域を中心とした利用となっていること, 環境学習では野鳥観察, ごみ拾いなどが中心となっていることなど, 従来の資源利用と資源や空間において差異がみられた. このように, 資源再生の際に重視するべきとされる「地域」と干潟のかかわりには大きな世代差があることが明らかになった. 3) 市民向けの研究成果発表 名護市立図書館において, 羽地内海の干潟の変遷, 貝類を中心とした資源の多様性, 現在の利用者の居住地の多様性について地域住民向けの展示をおこなった. また, 貝類・魚類・鳥類を中心に羽地内海に生息する生物写真, および方言や地域の逸話などの聞き取り成果を合わせた図鑑を発行し, 名護市内の中学校に配布した.
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Research Products
(1 results)