2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本における国立公園の風景地選定とナショナリズム・観光・自然保護の関係性
Project/Area Number |
19720224
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
神田 孝治 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (90382019)
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Keywords | 風景 / 国立公園 / ナショナリズム / 観光 / 自然保護 |
Research Abstract |
本研究は、日本の国立公園の風景地選定において、観光・ナショナリズム・自然保護といった観点がそれぞれどのように関係していたか、その過程を歴史的、空間的な変容に注目して考察することを目的としているため、まず関連する文書資料の収集が必要であった。そこで本年度は、戦前期を中心に国立公園関連資料および当該地域の観光関連資料の収集を主に行なった。またそうして得られた成果の一部は、順次国内学会にて発表した。 資料については、古書・古パンフレット資料を集めることで、特に国立公園の概論に関するものと、各国立公園の観光関係についての情報を得ることができた。また、雑誌『国立公園』や各地域の関連図書・雑誌については、主に資料複写で対応した。これらの資料は当該地域の図書館に集積しており、またそこで現物を確認しながら複写する必要があったので、それぞれ現地に赴き資料収集を行なった。特に伊勢志摩国立公園、瀬戸内海国立公園、そして吉野熊野国立公園関連資料については多くの成果を挙げることが出来た。 研究成果の発表については、初年度で資料も多く収集できていないことから、国立公園単独というよりは、個別地域の観光地化の系譜の中での国立公園選定の役割や影響についての検討結果を報告した。まず日本地理教育学会(於:関西大学)で8月5日に報告した「戦前期から戦後期における和歌山市の観光地化とその変容」において、戦前期に観光地として発達した新和歌浦を含む和歌山市の観光都市化が、瀬戸内海国立公園への和歌山市沿岸部の編入によってどのように変化したのかについて議論した。また、日本地理学会秋季学術大会(於:熊本大学)の「シンポジウムII 日本の観光空間-その現代的諸相-」で10月6日に報告した「観光政策の変容と熊野の表象」においては、戦前の熊野地域の国立公園指定と、戦後のリゾート地化や世界遺産登録を,特に表象に注目して比較検討した。
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Research Products
(2 results)