2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本における国立公園の風景地選定とナショナリズム・観光・自然保護の関係性
Project/Area Number |
19720224
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
神田 孝治 Wakayama University, 観光学部, 准教授 (90382019)
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Keywords | 風景 / 国立公園 / ナショナリズム / 観光 / 自然保護 |
Research Abstract |
本研究は、日本の国立公園選定において、観光・ナショナリズム・自然保護がいかに関係していたのかを考察することを目的としている。特に本年度は、熊野地域の国立公園指定に関する研究成果の発表と、台湾や伊勢を中心とする他の国立公園に関する補足資料調査および雑誌『国立公園』の資料分析を行なった。 熊野地域の国立公園については、2010年3月発行の『国立歴史民俗博物館研究報告』(vo.156)に「熊野の観光地化の過程とその表象」と題した論文を発表し(pp.137-161)、第II章の「国立公園の指定と熊野表象の変容」において、戦前期における吉野熊野国立公園の指定と熊野の海岸風景発見の関係性と、戦中期における霊地・史蹟としての吉野熊野国立公園への注目と金剛高野国立公園候補地の浮上、そして戦後における加太・友ヶ島と雑賀崎・新和歌浦の瀬戸内海国立公園編入と高野竜神国立公園指定に注目し、熊野の観光地としての表象がそれぞれの国立公園とどのような関係を有しながら変化し、その観光地化にどのような影響を与えたのかを検討した。 またこうした研究成果は、2009年11月発行の神田孝治著「近代期における熊野の風景認識」(『和歌山県立近代美術館編『世界遺産登録五周年記念-描かれた紀伊山地の霊場と参詣道』発行:和歌山県立近代美術館,pp.114-119』や、2010年1月発行の神田孝治著「熊野風景の物語」(『まほら』vol.62,pp.18-19)といった一般向けの書籍・雑誌における論考にも反映され、その成果は社会に還元されている。
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Research Products
(1 results)