2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国地方都市における地域コーポラティズムによる経済再生への取り組み
Project/Area Number |
19720226
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 康久 Kyushu University, 比較社会文化研究院, 准教授 (10362302)
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Keywords | 地域振興政策 / 外資系企業 / 地方政府 / 瀋陽市 / 撫順市 |
Research Abstract |
19年度は、中国地方都市の産業誘致における、地方政府の役割を分析するために、先行研究のレピユーの他に、東北振興政策による外資系企業の進出が期待されている遼寧省の瀋陽市・撫順市にて、市政府の幹部や現地の研究者い対にて聞き取り調査を行い、外資系企業の誘致する取り組みについて予備的調査を行った。 予備調査の結果として、瀋陽市においては、東北振興政策や他の沿海部の大都市における外資系企業の過密化などの要因により、東北地方の中心都市であり、合弁先としての魅力がある地場企業が多い同市に外資系企業の進出が進みつつあることや、このような傾向に呼応して、市政府の側でも、技術開発区を設立するなど、外資系企業の進出を促進する取り組みを進めていることが分かった。 これに対して、撫順市では、外資系企業の進出は、依然として少なく、市政府としても、企業誘致のための効果的な施策を打ち出せすにいるのが実情であった。同市では、瀋陽市や瀋陽国際空港に隣接していることと、その割には労働者の賃金や工場用地等のコストが割安であることをアピールポイントにしているが、このような条件だけでは、実際に進出してくる外資系企業は少なく、誘致政策には課題を抱えている。 近年、中国全体で見ると、外資系企業に対する中国政府の政策としては、組立や単純加工部門などの労働集約的な部門に対する優遇措置を縮小し、研究・開発部門などの高付加価値的な部門を持つ外資を優遇する方針を執っている。その一方で、地方レベルで見ると、依然として労働集約的な業種であっても、積極的に誘致活動を行っている地域もあるため、外資系企業の立地条件には、大きな変化が生じる兆候が見られる。 このような立地条件の変化によって、外資系企業の実際の立地がどのように変化していくかを占う上で、地方政府による取り組みについて着目していくことは重要であり、次年度では特に瀋陽市を事例にして、さらに詳しい分析を行っていく予定である。
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