2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世以降の日本列島周辺の海域と内水面における漁撈活動からみた環境利用史
Project/Area Number |
19720227
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
橋村 修 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, プロジェクト研究員 (00414037)
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Keywords | 漁業史 / 歴史地理学 / 江戸時代 / 近世 / 明治時代 / 漁業権 / 漁法 / 史料 |
Research Abstract |
本研究は、近世近代以降の日本列島周辺の漁撈技術、漁場利用形態からみた海面・内水面の環境利用史を解明することを目的としている。分析対象は、内水面のシバヅケ漁、海面のシイラ漬、定置網等の集魚装置漁業(FAD(fish aggregative device))、沖合漁業、海と陸の接点に位置する魚付林となる。 本年度は、明治期漁業資料(『水産調査予察報告』、『水産調査特別事項』、『漁業ト森林トノ関係』、『日本水産捕採誌』など)を用いたデータベース作りを進めた。その作業を進めるための資料収集(明治10年代から20年代に出された各県の水産誌、明治16年の水産博覧会に出品された各県の資料、各地の民俗誌)調査を、東京海洋大学図書館、長崎県立長崎図書館、長崎歴史博物館、熊本県立図書館、熊本大学附属図書館、鳥取県立図書館(文書館)、香川県立図書館、沖縄県立図書館、長崎県水産試験場、九州大学附属図書館でおこなった。また、伝統的な漁業の現地調査を、沖縄県沖縄本島、与那国島、熊本県有明海(イカカゴ漁とツボ網、干潟の集魚装置漁業)、長崎県(定置網、干潟の集魚装置漁業)、鳥取県、鹿児島県(待ち突き棒漁)でおこなった。これまで収集してきていた近世近代の漁業絵図のデータ整理を進めた。 その結果、長崎県立長崎図書館蔵の明治期長崎県水産課簿冊の中に、明治期の有明海沿岸域各郡の郡漁業組合規約を発見した。これは未発見史料で、明治期の有明海の海洋資源の利用の取り決めや漁期を解明できる一級史料である。各地で発見した資料群を整理、分析することで、過去の人々の環境利用のあり方を抽出でき、現在の環境問題へ提言が可能になる。
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