2007 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方の法律サービス提供構造に見る司法改革の影響と「法化」状況
Project/Area Number |
19730001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
飯 考行 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (40367016)
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Keywords | 司法制度改革 / 司法過疎 / 弁護士 / 日本司法支援センター / 裁判員制度 / 司法書士 / 裁判法 / 法社会学 |
Research Abstract |
平成19年度は、研究実施の初年度にあたり、東北地方の法律サービスおよび司法制度改革の概要把握に努めた。 1.東北6県の法律サービス調査 東北6県の法律サ「ビス現地調査を行った。訪問地は、五所川原、弘前、青森、八戸、むっ、釜石、大船渡、水沢、一関、大館、新庄、米沢、気仙沼、登米、仙台、相馬、福島、富岡、いわき、会津若松で、法律事務所、ひまわり基金法律事務所、日本司法支援センター、市役所、司法書士事務所でヒアリングを敢行し、資料を収集した。仙台市を含む自治体の法律相談会と日本司法支援センターの法律扶助相談会は、数週間先まで予約で埋まっており、弁護士、司法書士のほとんどは大量の事件を扱っていたことから、東北地方の法的ニーズの大きさが確認された。調査で得られた知見は、法社会学および法学セミナー掲載の論文と、日本法社会学会関東研究支部およびベルリン法社会学国際学術大会における報告に活かされた。 2.北東北3県の司法書士に対する質問票調査 司法書士の簡易裁判所訴訟代理等関係権限の行使の態様とその規定要因を探るため、同権限を取得する北東北3県の司法書士全員に対する質問票調査を郵送法で実施した。質問項目への回答内容のほか、自由記載欄から司法書士の声に触れることができた。調査分析の結果、司法書士による同権限の行使は、人的属性(資格取得事由、年齢)、業務内容(登記業務とのかね合い、従来からの本人訴訟支援の取組み)、職業環境(地域の法的ニーズ、事務所の執務態勢)、社会状況(多重債務案件の増加、登記業務の減少)の相互作用に規定されることが見出された。調査結果は、日本法社会学会学術大会で報告された。 3.文献調査 国内外の司法・法曹制度、司法アクセスならびに司法改革の実情に関する文献調査を行った。調査結果は、上記の東北地方の法律サービスに関する論文2本のほか、法と民主主義の裁判法に関する論考に活かされた。
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