2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の未成年者に対する刑事法の理念と実態-刑法制定後の議論を中心として-
Project/Area Number |
19730003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 亜紀子 Mie University, 人文学部, 准教授 (90437096)
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Keywords | 未成年者処遇 / 大正少年法 / 刑事法史 / 刑事政策 / 社会事業 |
Research Abstract |
現行刑法制定後の未成年犯罪者処遇問題に関する課題研究の二年度である平成20年度は、研究計画に基づき、研究課題に関する資料収集を継続するとともに、資料の分析にも着手した。 具体的には、第一に現行刑法制定後、当時の刑法学者が刑法ならびに第41条、そして続く大正少年法について言及したテキストの収集を継続するとともに、昨年に引き続き国立国会図書館所蔵文書中該当箇所に関する閲覧ならびに複写を行った。第二として平成20年1月に「大正期における刑事法と社会事業の関わりについて」の題で行った研究会報告の活字化作業を行い、「二〇世紀初頭における刑事政策と社会事業に関する一考察-大正少年法案初期審議に見る未成年犯罪者の処遇-」(三重大学『法経論叢』第26巻第1号)として発表した。本論文は現行刑法制定後、未成年犯罪者のみならず要保護児童をも対象とする法律が検討されていたことを取り扱ったものである。そして第三に、第一で複写を行っている資料(現行刑法制定後の刑法に関する研究者のテキストなど)などを用いて、「明治末期から大正期における不良少年、未成年犯罪者を対象とする言説について」の題で研究報告を行った(本報告に関する論文は次年度中に公表予定)。本報告においては、主として現行刑法制定の意義と未成年犯罪者処遇への影響、制定当時の刑法テキストを用いた刑法第41条をめぐる議論分析と、内務省側からの未成年犯罪者・不良少年に対する理解ないし処遇構想を明らかにする目的で、『感化救済事業講演集』、『第一回感化院長協議会速記録』、そして『留岡幸助日記』の分析を行った。
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Research Products
(1 results)