2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の未成年者に対する刑事法の理念と実態-刑法制定後の議論を中心として-
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19730003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 亜紀子 Mie University, 人文学部, 准教授 (90437096)
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Keywords | 刑事法史 / 日本法制史 / 未成年犯罪者 |
Research Abstract |
現行刑法制定後の未成年犯罪者処遇問題に関する課題研究の最終年度である平成21年度は、研究計画に基づき、なおも研究課題に関する資料収集を継続するとともに、資料の分析を行った。 具体的には、第一に昨年度は主として国立国会図書館所蔵文書における現行刑法が制定された明治40年から大正少年法が制定される迄を対象として逸脱少年、あるいは未成年者処遇一般に関する資料の閲覧および複写を行ったが、本年度は国立公文書館所蔵資料も対象とし、同様に資料の閲覧および収集を行った。 第二として、平成20年9月に明治末期から大正期における不良少年、未成年犯罪者を対象とする言説について-該当期の司法福祉(刑事政策、社会福祉)を考察するための準備として-」の題で行った研究会報告の活字化作業を行い、「明治末期から大正期における未成年犯罪者に対する言説に関する一考察」(三重大学『法経論叢』第27巻第1号)として発表した。本論文は、現行刑法制定後の未成年犯罪者および未成年犯罪者の処遇に対する認識の変容を明らかにすることを目的とし、当時の刑法研究者などの当該問題に関する言説を分析したものである。この他、平成21年7月には「大正少年法案における「保護処分」-大正8年に行われた議論を主たる素材として」の題で研究会報告を行うとともに、その研究会報告をまとめる際に取り上げた問題について、「大正少年法における『保護』概念」という題で論文執筆を行った(発表は4月予定)。この他、本年度中に収集した『戦前期少年犯罪基本文献集』は、現段階においては十分な分析が行えていないため、その分析は今後の課題としている。
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Research Products
(1 results)