2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730004
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 秀臣 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (10362948)
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Keywords | 共和主義 / マキァヴェッリ / 自由論 |
Research Abstract |
本研究は、自由、平等、徳などの共和主義的法理念を再構成することを目的とするが、本年度は4ヵ年計画のうち最終年度に当たり、これまでの課題研究の総まとめに当てた。まず研究成果としては、以前より執筆を続けてきた「マキァヴェッリは背徳の徒に微笑むか」の後半部分を公表することができた。同論文は、本研究の中心的テーマである自由と徳との関係を明らかにしたものであり、在外研究も含む数年間の課題を継続的に研究した成果である。 さらに同論文に加えて、今年度は、M・クレイマーやI・カーターらの消極的自由論者とQ・スキナーやPh・ペティットらの共和主義的自由論者の間で交わされた論争を題材に、非干渉の観点から自由にアプローチする前者と非支配の観点からアプローテする後者の見解を比較検討し、自由と干渉確率との関係や自由と構造的不平等との関係などを理論的に検討した。この論文では、従来の自由とその他の法理念との関係に関する考察を発展させ、近代以降強い影響力を持つ自由論との比較を通して、現代法システムにおける共和主義自由論の射程を検討した点で、これまでの研究を総括するにふさわしい論考であったと考えている。なお同論文は、有斐閣より2012年に刊行予定の論文集に所収される予定である。
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