2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730012
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
西村 貴裕 University of Human Environments, 人間環境学部, 准教授 (70367861)
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Keywords | 自然保護法 / ナチズム / 動物保護法 / 景観計画 / ドイツ史 / 法制史 / 郷土保全 |
Research Abstract |
研究実施計画の通り、まずナチズム期の自然保護関係立法を、刊行資料により精査したが、すでに執筆している論文「ナチス・ドイツの動物保護法と自然保護法」での調査を超える新しい知見は得られず、この論文の知見を補充・正当化する情報を得るにとどまった。 夏にはドイツ(ベルリン・ケルン)への資料収集旅行をし、計画の実施に必要な資料を収集した。特にナチズム期の自然保護運動の公的な機関紙である"Naturschutz: Monatsschrift fur alle Freunde der Deutschen Heimat 1922-1944"を精査し、当時の民族主義と自然保護とのつながりを示す興味深い資料を大量に得た。そのほかにも、19世紀後半からナチズム期に至るまでの自然保護・景観保全の中心人物について調査するため、その人物の著作、その人物についての個人史研究など、大量の文献を得た。 これらの資料は、日本においてはほとんど所蔵されていない。ドイツやアメリカでは議論が深化しつつある分野であるだけに、この資料の収集、ならびにこれらの分析と紹介は、法制史学、歴史学、自然保護の諸分野にとって、意味のないことではないであろう。これらの資料が大量であったため、その把握と分析に予想以上の時間がかかり、現在もこれらを調査しているところである。纏めを年度中に発表できなかったため、次年度発表できるよう研究を進めたい。 これらの資料を検討する中で、人間と自然との関係に関する当時の考え方は、東欧占領地における景観計画をめぐる議論の中に、もっとも典型的かつ凝縮された形で表現されているように思えた。したがって、上のように自然保護全般についての記述以前に、この景観計画に特化した論文をまず執筆することも考えているが、いずれにせよ次年度の課題である。
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