2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近代刑事法の成立と法学教育-18世紀末から19世紀前半を中心に-
Project/Area Number |
19730013
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高橋 直人 Ritsumeikan University, 法学部, 准教授 (50368015)
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Keywords | 基礎法学 / 刑事法学 / 西洋法史 / ドイツ刑事法史 / 近代刑法 |
Research Abstract |
18世紀末から19世紀前半におけるドイツ近代刑事法(学)の成立を同時代の「知」あるいは「学問」のあり方と関連づけて再検討するという試みを、これまで報告者は続けてきた。本研究もその一環に位置づけられるものである。そのうえで本研究の課題は、18世紀末から19世紀前半のドイツ諸大学における教育が刑法家(Kriminalist,刑事法の研究者と実務家の双方を含む当時の概念)の活動にどのような影響を及ぼしていると考えられるかを、史料に即して理解することである。とりわけ、当時の言葉で刑事法学の「補助学(Hilfswissenschaften)」と呼ばれる哲学・医学・歴史学・心理学等の知識が刑法家養成の過程でどのように習得され、狭義の刑事法学といかなる影響関係にあるのかを、具体的に描き出すことが研究課題の焦点となる。 おりしも平成19年度、報告者は所属大学(立命館大学)より、ゲッティンゲン大学にて1年間の在外研究を行う機会を与えられていた。この機会を最大限に活用し、同大学およびドイツ各地の他大学にて資料の調査・収集を行う作業が平成19年度の報告者の活動の中心となったことは、本研究計画の予定通りである。特に、わが国では入手しがたい貴重な史料を多数、W-ゼラート教授のご教示・ご支援のもと、ゲッティンゲン大学にて入手することができた(18世紀末から19世紀前半のドイツ諸大学におけるカリキュラム、教育活動および教育の担い手の実態、あるいはそれらに関する当時の統計的データ等。また、同時代の刑事法学・刑事実務そのものや「補助学」に関する史料も収集した)。フライブルク、ベルリン、マールブルク、ミュンヘンの各大学にも調査に赴き、ゲッティンゲンでは得られなかった資料の入手を進めることも実現できた。今年度入手した資料を用いて成果の発表に向けた作業を進めることが、来年度(平成20年度)の活動の中心となる。
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