2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730018
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
斎藤 一久 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (50360201)
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Keywords | 憲法 / 憲法訴 / 憲法裁 / 多文化 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に研究したドイツ連邦憲法裁判における<ゆらぎ>と考えられる最近の判例傾向分析の中から、L-E-R判決についての成果を『ドイツの憲法判例III』に掲載した。とくに和解判決とブランデンブルグ州改正学校法には、かなりの類似性が見られ、連邦憲法裁判所での和解が州議会の立法活動に一定のインセンティブを与えたと言わざるを得ず、今後、和解という手法が頻繁に利用されることになると、連邦憲法裁判所の中で、対立する政治主張について交渉と妥協が行われ、連邦憲法裁判所が政治の斡旋者的役割を果たすことになるおそれがあることを指摘した。またユンゲ・フライハイト判決を中心として、憲法裁判所の判例傾向として見られたスティグマの問題について、憲法理論研究会にて報告を行った。 さらに日本の憲法裁判における和解の位置づけを中心として検討を加えるとともに、具体的審査制及び抽象的審査制の異同を踏まえた憲法裁判における和解の位置づけについて研究を行った。同時に一般的に和解が許されないとされている抗告訴訟における和解の許容性について、憲法裁判における和解との関係で再検証した。 最後にドイツ連邦憲法裁判所における<ゆらぎ>が、他国の憲法裁判制度との対比で、どのように意義付けられるかについて検証し、価値多元化社会において憲法裁判所が一定の判断を下すこと自体に大きな価値対立を生むといったような困難さが、このような<ゆらぎ>を引き起こしている原因ではないかという結論に至った。
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Research Products
(2 results)