2009 Fiscal Year Annual Research Report
義務付け訴訟と取消訴訟の関係:行政と裁判の適切な役割分担を踏まえた解釈論・立法論
Project/Area Number |
19730021
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
興津 征雄 Kobe University, 法学研究科, 准教授 (10403213)
|
Keywords | 公法学 / 行政法 / 行政救済法 / 行政争訟法 / 行政訴訟 |
Research Abstract |
1. 平成21年度の上半期は,前年度までに遂行した研究の成果を公表することに重点が置かれた。「越権訴訟の起源をめぐって」(日仏法学25号)がそれである。この研究の公表によって,なぜ行政訴訟が存在するのか,そして,なぜその中心的な訴訟類型が取消訴訟(フランスでは越権訴訟)なのか,という行政訴訟の根本問題に対する自分なりのイメージ(もちろん現時点ではいまだにきわめて限定されたものであるが)を,権力分立理解,およびその前提をなす行政・司法・裁判といった観念,さらにそれを支える書説構造に即して形成することができた。これは,本研究の前半期における最大の成果と言ってよく,今後の研究の礎となる重要な業績であると自己評価している。 2. 平成21年度の下半期は,本研究の総まとめとも言える業績の公表作業に取りかかり,これにある程度見通しをつけることができた。すなわち,行政事件訴訟における抗告訴訟の判決効の理論的意義およびその機能の解明を通じて,抗告訴訟を《違法判断+是正措置(救済)》の二重構造として捉える視点を提示し,これを前提として,本研究の本来の研究課題である「義務付け訴訟と取消訴訟の関係」に関わるいくつかの解釈論上の知見を得ることができた。また,議論が錯綜していた取消判決の既判力と拘束力の関係についても,一定の理論的整理をなしえたと考えている。この成果は,単著の形で,平成22年度中に公表される予定である(脱稿済み・現在校正作業中)。 3. また,2.の成果として得られた解釈論上の知見を応用して,第一種市街地再開発事業の事業計面の処分性に関する判例評釈を行った。これも平成22年度中に活字になる見込みである(脱稿済み)。
|
Research Products
(2 results)