2010 Fiscal Year Annual Research Report
義務付け訴訟と取消訴訟の関係:行政と裁判の適切な役割分担を踏まえた解釈論・立法論
Project/Area Number |
19730021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
興津 征雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (10403213)
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Keywords | 公法学 / 行政法 / 行政救済法 / 行政争訟法 / 行政訴訟 |
Research Abstract |
4年間にわたる研究期間の最終年度である平成22年度は,研究成果を体系化し公表することに力を注ぎ,研究の総まとめとして,著書(興津征雄『違法是正と判決効-行政訴訟の機能と構造』,弘文堂,2010年6月)を刊行することができた。この著書においては,抗告訴訟を中心とする行政訴訟の機能と構造を分析し,抗告訴訟を《違法判断+是正措置(救済)》の二重構造で捉える視点を提示した。また,この視点から取消訴訟と義務付け訴訟の関係を検討し,いくつかの解釈論および立法論を提示した。この著書刊行後に公表した2本の論考において,著書において示された判決の効力に関する成果をコンパクトにまとめるとともに,著書においては十分に検討することができなかった当事者訴訟の位置づけについて一定の見通しを示した。第一種市街地再開発事業計画に関する論考は,本研究で得られた視点を処分性という新たな問題に応用しようとするものであり,本研究の成果であると同時に次の課題への橋渡しをするものである。 以上の成果により,行政事件訴訟法の2004年改正の理論的意義をある程度解明することができたと考えており,本研究の課題「義務付け訴訟と取消訴訟の関係:行政と裁判の適切な役割分担を踏まえた解釈論・立法論」により予定されていた内容は,ほぼ達成できたと自己評価している。平成23年度からは,本研究の遂行過程で発見された問題に取り組むために新たな研究課題を開始する予定である。
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Research Products
(5 results)