2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報洪の基礎理論の研究-法秩序の憲法化の一局面として-
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19730027
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宍戸 常寿 Hitotsubashi University, 法学研究科, 准教授 (20292815)
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Keywords | 情報法 / 放送法 / 表現の自由 |
Research Abstract |
19年度は、当初提出した研究計画・方法にしたがい、ドイツの情報法の現状・研究について、わが国のそれと比較検討する作業を進めた。 具体的には、日独の表現の自由の基礎理論、メディアの表現の自由、そして放送法について、資料・文献の収集、調査及び考察を行った。 現段階での具体的な成果およびその意義は次の通りである。 1放送の「公共性」から放送の社会的役割論へ わが国では従来、放送の規制根拠を「放送の公共性」に求めてきたが、これは放送の技術的特性着目した観念であり、現在のメディア状況の変容や「公共性」一般に関する議論動向から見て、必ずしも適切とは言えない。むしろドイツ連邦憲法裁判所の判例の蓄積や、学説における公共放送の機能的任務論を前提にすれば、あるべき社会像を正面に見据えて、そこにおける放送のあるべき役割を規範的に論じるべきではないかと考えられる。 (以上の点は、「放送の公共性を考える)「情況化社会と『放送の公共性』の変容」に発表した。) 2メディアの表現の自由のあり方 上記の社会的役割は、国民の知る権利に奉仕するメディア一般にも妥当する側面を有するが、そうした役割を果たす際に、メディアに従事する専門の職能の自由を保障することが重要であると考えられる。たとえば(1)番組編集の自律(放送法3条の2)が、取財対象者の「期待権」やそれに対する「説明責任」によって制限されるのは慎重であるべきこと、(2)取材源秘匿特権が憲法上の権利として認められるべきこと等について検討した。 ((1)については、「いわゆる『期待権』と編集の自律」にて発表し、(2)については神戸大学COEの「公共空間研究会」(2007年11月10日)にて、コメンテーターとして論じた。) なお、表現の自由の基礎理論および全体的な研究のまとめは、20年度に継続して行う予定である。
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