2008 Fiscal Year Annual Research Report
情報法の基礎理論の研究-法秩序の憲法化の一局面として-
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19730027
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宍戸 常寿 Hitotsubashi University, 大学院・法学研究科, 准教授 (20292815)
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Keywords | 情報法 / 放送法 / 表現の自由 |
Research Abstract |
20年度は、当初提出した研究計画・方法に従い、ドイツ・英米の情報法・憲法の現状・研究について、わが国のそれと比較検討する作業を進めた。 具体的には、(1)ドイツの表現の自由・放送の自由、(2)アメリカの表現の自由について資料収集・調査研究を深めるとともに、(3)わが国の情報法に関する現状について、立法・行政・司法のプロセスにおいていかにして実現されるべきかという観点から研究を進めた。現在進められている情報通信法制の見直し作業のにうに、表現の自由・情報に対する権利を立法・行政による形成・具体化を要するものと捉える見方、他方で伝統的な防御権としての表現の自由の理解の下で、裁判所による救済を貫徹すべきとする見方の、各々の特徴と長短について、理解を深めた。 (1)〜(3)の研究の柱について、19年度の研究と合わせてまとまった形での成果公表を今後行う予定であるが、20年度中に公表した直接・間接的な成果としては、11. で挙げた計5件がある。このうち「表現内容規制・内容中立規制」および「文面上判断と合憲限定解釈」は(2)(3)に関するものであり、残りの放送の自由・放送法制に関する解説および座談会での発言は(1)(3)に関するものである。これらは、情報法の基礎となる表現の自由、放送等の概念および従来の学説、実務について、現下の情報化社会の急速な進展という問題意識から、外国法の知見を踏まえながら再検討を試みたもので、情報法の基礎理論の形成に貢献するものであると考えている。
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