2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペルーを中心としたラテンアメリカ型大統領制をめぐる比較憲法史研究
Project/Area Number |
19730029
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
川畑 博昭 Aichi Prefectural University, 文学部, 准教授 (50423843)
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Keywords | 比較憲法 / 大統領制 / 憲法史 / ペルー / ラテンアメリカ |
Research Abstract |
【具体的内容】 2008年5月には本研究課題の成果の一部を報告する機会を得たが(学会発表)、これは研究の進捗作業を確認し、その不備を明確にする上で重要な機会となった。これまで憲法制度としての大統領制をペルーの憲法史的文脈で析出し、そこで得照れる手がかりをもとにラテンアメリカ型の大統領制の特質を明らかにする作業を行なってきたものの、ペルーおよびラテンアメリカ固有の憲法統治構造を総体として把握するためには、当該大統領制が立脚する基盤となる社会構造をこそ射程に含まなければ本研究課題の目的は達成できないということである。そこには、同時に、ラテンアメリカにとっては、名称自体は新しさを含みつつも、現象としては古い「グロ-バリゼーション」の視点が必要であることが痛感された。11月に行なった現地調査においては、以上の点を踏まえた文献収集を行い、大統領制を手がかりにした社会と統治の構造的連関を、「グローバリゼーション」という対外的視点も組み込んだかたちでの試論2本を公表した(雑誌論文)。 【意義、重要性等】 とりわけ低開発国における国内法たる憲法に対しては、対外的なアプローチも織り込んだ研究の必要性を認識させた本研究課題への取組みは、大統領という統治制度とそれを支える社会構造としての公共空間をどのように描くのかという、今後の課題設定へと接合するものとなった。その意味で、本研究課題は今後の新たな研究課題と併せて、はじめて本格的な「ラテンアメリカ型大統領制の比較憲法史的研究」と結実するともいえる。
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