2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730032
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
楠 茂樹 Sophia University, 法学部法律学科, 准教授 (70324598)
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Keywords | 政府調達 / 公共工事 / 独占禁止法 / 不正防止 / 課徴金 / 入札談合 / 入札改革 / 官製談合 |
Research Abstract |
20年度前半においては主として、公共工事における不正発生のメカニズムを考察、分析する作業を進め、その整理を行った。とりわけ独占禁止法のリーニエンシー制度の影響が強く、大手建設業界では談合構造が解消されたことを推定するに十分な事実が存在するという結論を導くと同時に、地方の中小建設業界、市区町村レベルの入札契約においては不正・癒着の構造が、延々と受け継がれているという実態を認識するに至った。執行面でいえは、刑法における入札競売妨害罪の適用が目立つようになり、これつまり入札談合という不正ではなく、情報漏洩等入札契約過程における官民間のより直接的な癒着が深まったことを示すのではないか、という推測を働かせるものである。総合評価方式がより積極的に採用されつつある状況において、脱談合時代の新たな不正の形態が今後形成されるようになるだろうという一応の結論を導けた。 20年度後半においては、それまでの取りまとめ作業を行った。現段階では公表には至っていないが、以下の計画が進んでいる。 (1)単著で「公共工事における不正」についての論文を作成し、公表する予定である。 (2)行政法分野の岩橋健定氏と共著で公共調達にかかわる専門書を作成中で、この中で公共調達における不正行為禁止について大きなウェイトを割いて触れる予定である。
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