2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際組織責任における加盟国責任法理の実証的・理論的研究
Project/Area Number |
19730034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 清久 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 助教 (70436070)
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Keywords | 国際組織(国際機関) / 加盟国の責任 / 国際組織のアカウンタビリティー / 国際組織責任 / 国家責任 / 国際組織への権限の付与 / 国際組織法 / 国際責任法 |
Research Abstract |
(1)「加盟国の責任」および「国際組織の責任」ならびに「国際組織のアカウンタビリティー」に関連する諸資料を収集・分析し、知見の更新・蓄積を継続的に試みた。具体的には、ILCの法典化作業(採択書および報告書)ならびに関連する国内・国際判決および国際実行、そしてそれらに伴うアカデミックな反応(関連論稿)を追った。(2)「国際責任」、「国際組織」および「アカウンタビリティー」一般に関係する多様な資料(国内・国際判決資料、報告書、採択書、議事録、体系書、論文雑誌等)をできる限り確保するよう試みた。(3)国内外の情報源にできる限りアクセスし、必要な関連資料および情報の充実を図った。その一環として、ローターパクト国際法研究所(ケンブリッジ大学)を訪問し、関連資料・情報の収集に努めるとともに、当該研究所に所属する研究者と当該研究課題に関して議論を交わすことによって新たな知見を獲得することに成功した。(4)実体面の研究成果としては、(1)「加盟国の責任」について、関連する国際実行、国際・国内判決、および諸学説、の検討・分析を通じて、特に当該責任を成り立たせる根拠・アプローチに着目することにより、その類型化および一般化を図った。(2)そのようにして加盟国責任法理の全体の概要を明らかにした後、それを「国際組織の責任・アカウンタビリティー」全体の文脈のなかに位置付けることを試みた。しかし、以上の理論的成果とは異なる、いやむしろそれに対抗・反発するかのような、現実の国際組織・国家の意志ないし意向が、上記(1)で触れたILCの作業の進展を契機として、顕著に表明・表出されはじめており、そのことは、「加盟国の責任」の問題が依然「政策」と「法」の狭間で揺れ動いている微妙な問題であることを認識させるものであった。
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