2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際組織責任における加盟国責任法理の実証的・理論的研究
Project/Area Number |
19730034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 清久 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 助教 (70436070)
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Keywords | 国際組織(国際機関) / 加盟国の責任 / 国際組織のアカウンタビリティー / 国際組織責任 / 国家責任 / 国際組織への権限の付与 / 国際組織法 / 国際責任法 |
Research Abstract |
(1) これまで収集・確保してきた関連資料・情報について、その整理および内在的分析を行い、知見の更新・蓄積を図った。具体的には、ILCの法典化作業をはじめ、関連する国際判決および国際実行、そしてそれらに伴うアカデミックな反応(関連論稿)を丹念にフォローし、整理・分析を行った。(2) その結果、現在、加盟国責任法とも言える「加盟国責任の一般体系」が、ILCの法典化作業などを通じて明らかにされつつある一方、他方で、加盟国責任のそのような一般化・体系化に対抗・反発するかのような現実の国家・国際組織の意志あるいはそのような最新の学説が、表明・表出されているという状況、つまり依然として関連する議論が錯綜を深めているという状況を把握するに至った。(3) このような状況を踏まえて、最近になって関連実行(国際裁判実践)の蓄積が際立って見られる類型の加盟国責任、すなわち「国際人権条約との関連における加盟国責任」という加盟国責任の一類型ないし一断面に、検討・分析の焦点を絞り、当該加盟国責任に関するルールの探究・解明を試みることとした。(4) その試みの結果、当該加盟国責任に関するルールの規範構造ないし理論枠組みを抽出・提示することに成功した。これは、加盟国責任をめぐるこれまでの議論の錯綜状況に対して一定の議論枠組みを提供することに資するものとも言える。(5) 以上の検討・分析から得られた結果をもとに、再度、関連するILCの法典化作業を批判的に検討し直した。その結果、当該加盟国責任をめぐるミクロ・マクロの問題点が前景化した。(6) 加えて、当該加盟国責任が「国際組織のアカウンタビリティー」概念との関係でどのような意義ないしインパクトを有するものであるかについて考察した。(7) 以上の実体面での研究成果を、論文の形で具体的に取りまとめる作業を行った。その作業は、結果として、2本の論文を公表することに結実した。
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