2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730039
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福永 有夏 Waseda University, 社会科学総合学術院, 准教授 (10326126)
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Keywords | 国際公法 / 国際経済法 / トランスナショナル・イシュ / グローバル・イシュ |
Research Abstract |
WTO協定の遵守は国内法や国内政策の改正を必要とする場合が少なくなく、WTO協定の遵守を論じる際には、WTO協定の国内平面における位置づけについても検討する必要がある。たとえば、WTO紛争処理制度においてある国内法・政策のWTO協定違反が認定され、そのような法・政策の改正が勧告されることを論じるのみでは不十分で、そのような勧告に従って実際に当該法・政策が改正されているかを検討する必要がある。 同時に、WTO協定によって国内法・政策の改正を迫ることは、国内における反発を招く場合があることにも配慮しなければならない。 とりわけ、WTO協定に違反すると認定された国内法・政策が、違反国の市民にとって重要な非経済的価値を実現するものであるとき、反発は一層強くなる。WTO協定の国内平面における位置づけを論じる際には、WTO協定の国内実施において非経済的価値に対してどのような配慮がなされているかも検討する必要がある。 以上のような視点から、2009年度は非経済分野との関係が深いWTO協定の国内平面における位置づけについて検討した。 たとえば日本国際経済法学会での報告では、TRIPS協定の権利制限規定の国内法上の位置づけに注目し、権利制限規定が知的財産権保護政策とその他の国内政策をどのように調整するかについて加盟国に少なからぬ裁量を与えていることなどについて発表した。 またAlberta Law Reviewに掲載した論文においては、環境や食品安全などに関する国内法・政策がWTO協定に違反すると認定されその是正が求められる場合であっても、どのような方法で当該措置を是正するかについては違反国に相当の裁量が残されていることを論じた。 このほか、日本の関税法及び通商法に関する調査を行い、WTO協定が日本の国内法にどのように反映されているかを研究した。この研究の成果は近日中に刊行される予定である。
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