2008 Fiscal Year Annual Research Report
「私人・私企業対外国国家」型紛争の処理に関する国際法の研究
Project/Area Number |
19730040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水島 朋則 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 准教授 (60434916)
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Keywords | 国際法 / 国際民事訴訟法 / 外国国家免除(主権免除) / 国連裁判権免除条約 / 外交的保護 / 国内救済原則 / 国際人権法 / テロリズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、私人や私企業に対しそ外国が損害をもたらした場合に生ずる「私人・私企業対外国国家」型の紛争を処理するためのさまざまな手続(例えば、私人の本国における国内裁判、私人の本国と外国との間の国際的手続(外交的保護))について、外国に対する私人・私企業の利益の救済という共通の目的や手続間の相互連関に着目することにより、「私人・私企業対外国国家」型紛争の処理に関する国際法という枠組にまとめ、その現代的構造と問題点を明らかにすることにある。 2年目となる今年度の研究実績は、主に次の3つからなる。(1)前年度からの継続研究として、紛争の代替処理手続の存否を考慮せずに私人の本国における国内裁判からの免除を外国に与えた英国貴族院2006年6月14日判決について、外国に対する私人・私企業の請求処理手続の確保という観点から、とりわけ外交的保護との比較を通じて、批判的に分析した。(2)日本が国連裁判権免除条約の批准に向けて準備を進めていることを考慮し、国際法規則としての外国国家免除(主権免除)の展開を、「国際法の一般原則に基づく免除」「慣習国際法上の免除」「国連裁判権免除条約における免除」という流れとして捉えた上で、「私人と外国との間の請求の処理に関する国際法の一般原則」を措定することにより、免除の範囲が、従来の一般的な説明とは異なり、むしろ広がっていることを明らかにした。(3)本研究開始後の新たな注目すべき展開の1つと言える米国の外国主権免除法の新テロリズム免除例外規定(2008年1月)について、私人がサウジアラビアを訴えた9.11テロ損害賠償請求事件(連邦控訴裁2008年8月14日判決)と関連づけて分析し、その意義と問題点を指摘した。 それぞれについて、関連する資料を入手し、学会および研究会で口頭報告した際に受けた批判やコメントをも考慮に入れた上で、論文の形でまとめた((1)は英文)
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Research Products
(3 results)