2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝澤 紗矢子 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (40334297)
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Keywords | 経済法 / 単独行為 / 排除効果 / 規制 / 歴史 / アメリカ法 / イングランド法 / Case of Gloucester School |
Research Abstract |
本研究は、事業者の自主的な意思決定・経営判断に基づく行為(単独行為)に対する競争の観点からの法規制のあり方について、歴史的観点から理論的基礎を探求することを目的としていた。 今年度はまず、イングランドにおいて、単独行為規制と競争の問題について扱った最古の判決として著名な、Case of Gloucester School(1410)を内在的に精読し、同判決の意義を問い直すことを試みた。この検討を通じて本判決は競争問題について直接判断しておらず、現在行われている競争の観点からの単独行為規制に対して、理論的意義が限定的である可能性を示した。この研究の成果は、雑誌論文の5件目、東北法学71巻6号1-29ページに公表した。 次に、来年度に本格的に取り組む予定でいたアメリカ法研究を、今年度に前倒しして行った。検討に当たっては、並行的に単独の排除行為が行われた場合にいかなる法規制を行いうるか、行うべきかという課題に焦点を絞って、アメリカ法史の中にその理論的基礎を探求した。具体的には、この問題を正面から扱い、クレイトン法3条弊害要件の解釈をめぐって各意見の間に先鋭な対抗関係を見出すことができるStandard Oil Co. of California and Standard Stations, Inc. v. United States, 337 U.S. 293(1949)を基点として、アメリカ法の歴史的展開を検討した。この研究の成果は、雑誌論文の1〜4件目、法学協会雑誌124巻5号、7〜9号に公表した。本論文は、平成19年度、公正取引協会の主催する第23回横田正俊賞を受賞した。同賞は、毎年度発表される経済法の若手研究者の論文のうち最優秀と認められるものに授与される。
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