2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハイテク産業に注目した競争排除行為に対する独禁法規制基準の解明
Project/Area Number |
19730047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 邦宣 Osaka University, 高等司法研究科, 准教授 (00305674)
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Keywords | 独占禁止法 / 競争法 / ハイテク産業 / 競争者排除 |
Research Abstract |
ハイテク産業における問題を検討するにあたり、本年度は具体的に、電気通信産業における問題を検討することとした。米国における電気通信産業の問題として、継続してネットワーク中立性の問題を検討するとともに、ECにおける問題として、規制フレームワークの見直しの議論をサーベイするとともに、我が国において具体的に競争排除が問題となった、NTT東日本の審判審決事件(光ファイバの私的独占事例)を詳細に研究することとした。NTT東日本の事件は、(1)電気通信産業において特選禁止法が本格的に適用された最初の事例であるとともに、(2)プライススクイーズというこれまでにない競争排除行為類型が登場した事例であった。これを詳細に検討したことは、次年度以降の本研究の推進に大きな意味を持つと考える。本年度の目的は、次年度以降の研究遂行の土台構築であった。本年度の研究から「ハイテク産業」を、以下の3つの要素を持つ市場として定義しておきたい。第一に、不確実性が存在する市場。第二に、ネットワーク効果が存在する市場。第三に、イノベーションが重要な市場である。また、「競争排除行為」を。レベレッジの問題として定義し、次の3つの態様に分けた研究を行っていきたい。第一に、伝統的なレベレッジ。第二に、ダイナミックなレベレッジ(デフェンシブ・レベレッジ)。第三に、サボタージュ(規制の潜脱・バクスターロー問題)である。以上の定義を基礎として、次年度は、とりわけECにおけるテレコム規制の見直しを集中的に検討したいと考えている。
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