2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 隆之 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (30242069)
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Keywords | 刑事弁護 / 被疑者弁護 / 国選弁護 |
Research Abstract |
被疑者弁護のあり方に関する検討の第2年度である本年度は、引き続き、弁護人の役割・機能に関する基礎理論的研究に関する論考及び関連する判例に検討を加えた。特に、本分野における近時の重要判例である、最高裁平成17年11月29日第3小法廷決定(刑集59巻9号1847頁。否認事件において弁護人が有罪を基調とする最終弁論を行った事例)にっき、東北大学刑事法判例研究会において報告を行い、従来の議論を踏まえつつ、弁護人の擁護すべき被疑者・被告人の「正当な利益」の意義、弁護人の誠実義務の内容について分析した(これに関連して、弁護人の誠実義務と弁護人の援助を受ける権利との関係、誠実義務違反と裁判所のとるべき措置との関係にも論及した論考を公表する予定である)。 これと並行して、引き続き、実務家に対する聞き取り調査を実施し、被疑者弁護の水準及び適正に関わる問題状況の把握に努める一方、特に、アメリカ合衆国における連邦最高裁判例を素材として、「弁護人の援助を受ける権利」の内容ないし弁護水準に関する検討を行った。 さらに、被疑者国選弁護制度と密接に関連する被疑者取調べの適正化をめぐる問題について検討し、「被疑者取調べの適正化」(ジュリスト1370号)において、警察における取調べ監督制度、警察及び検察における取調べ状況の録音・録画については、その実施ないし試行状況の慎重な検証が必要であることとともに、取調べの適正確保のため、弁護人の積極的な関与が期待されることを指摘した。
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Research Products
(1 results)