2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730052
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 隆之 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 教授 (30242069)
|
Keywords | 刑事弁護 / 被疑者弁護 / 国選弁護 |
Research Abstract |
被疑者弁護のあり方に関する検討の最終年度である本年度においては、第1に、弁護人の役割・機能に関する基礎理論的研究を発展させ、特に、被疑者・被告人の希望する弁護内容と弁護人からみた被疑者・被告人の利益との間に齪齬がある場合への対処を含めた具体的事例(最高裁の判断が示された、否認事件において弁護人が有罪を基調とする最終弁論を行った場合のほか、死刑判決に対し、被告人の意思にかかわらず、弁護人が上訴を申し立てた場合など)に関する検討を行った。第2に、被疑者に対する国選弁護の水準・適正に関わる評価・監督体制の問題について、現実にいかなるルールが弁護活動に対する規範として機能しているか、聞き取り調査及び懲戒事例等の収集・分析を継続して行う一方、日本司法支援センター(法テラス)の定める「法律事務の取扱いの基準」(法律事務取扱規程)を手掛かりとして、弁護活動に対する規律手段を含め、被疑者弁護に関する指針のあり方について検討した。第3に、平成21年5月21日より、裁判員法が本格的に施行され、これに合わせて、被疑者国選弁護制度の対象事件の範囲が大幅に拡大されたことから、被疑者国選弁護制度の運用に関する調査を継続して行い、対象事件の拡大に伴って生じる問題(弁護の水準及び弁護態勢など)を把握することに努めた。第4に、弁護人による、検察官に対する働き掛けが、被疑者の不起訴や起訴猶予等の処分につながることに鑑み、対向犯事案における捜査のあり方について検討を加え、被疑者に対する捜査を、その公平性という観点から点検する際の着眼点を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)