2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730056
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
嶋矢 貴之 Kobe University, 法学研究科, 准教授 (80359869)
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Keywords | 事後共犯 / 刑事訴訟手続きにおける和解 |
Research Abstract |
実務上の問題および被害者保護モメントに関する検討として、刑事訴訟手続における和解という形の被害者の財産的保護について調査を行い、実務家(裁判官)との懇談において、当該制度が、それにより量刑が軽くなることを被害者側が警戒して十分に利用されていないとの情報を得た。我が国において、新たに穿けられた損害賠償命令制度は量刑終了後の手続きであり、そのような問題は一応、制度的に回避されているが、上訴された場合の量刑を考慮し、同様の問題が生じ、利用に消極的と懸念なしとしない。そこでは運用上の工夫がなお必要と思われ、引き続き、その点の検討を行っていきたい。 国際モメントとしてマネーロンダリング規制は利益収受による事後的な関与・犯人による可罰的な事後行為とみなしうるが、それと密接に関連する犯人隠避や証拠偽造につき以下の点から検討を行った。すなわち本研究との関係では財産剥奪以外に、自由刑というオプションをどの程度残すべきか、また、それは現行法の枠内でどの程度実現可能であるかという問題を検討するため、犯人隠避や証拠偽造について我が国の判例・学説等に関する研究を行った。学説上、極めて反対論の強い犯人による事後的な加功は、制度的な期待可能性の担保という観点からすると、単独正犯としての処罰が否定されている限りは、共犯の成立の余地はありうるのではないかという理論的可能性にっき検討した(後掲の報告を行った)。それが、本問題につきどの程度の受け皿となりうるかにはさらに慎重な検討が必要である。
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Research Products
(1 results)