2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730067
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金子 敬明 Chiba University, 法経学部, 准教授 (80292811)
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Keywords | 民事法学 / 相続 |
Research Abstract |
「研究実施計画」によれは、本年度には、第1に、フランスにおける婚姻していないカップル間の財産関係を検討し、以て同国での婚姻夫婦間の夫婦財産制の特徴を浮き彫りにし、また2にまとめの業として、フランス法の検討結果を、イングランドにおけるカップル間の財産関係と比較し、フランスのようにやや複雑な夫婦財産制をもつことの意義を考える、という予定になっていた。しかし、前年度におこなっていた、フランス夫婦財産制についての検討がやや不十分なものであったため、今年度はその補完作業から始めざるを得ず、その結果、本年度中に上記第2の作業に入ることができず、遺憾に思う。 上記第1の作業からは、次のような成果が得られると考える。フランス夫婦財産制の諸類型のうち最も典型的とされる「共通制」の最大の特徴は、夫婦と取引関係に入る第3者との対外関係において、その取引の性質に応じて当該第3者があてにできる責任財産の範囲が変わってくることにある。言い換えれば、共通制は、1人の人には1つの資産(その者に帰属する積極財産と消極財産との結合体)のみが認められるというフランス法の原則に対する重要な例外をなしている。同じような仕組みとして、フランスでは最近認められたばかりの信託が存在するが、信託が一般的な法制度であるのに対して、夫婦財産制は相続と同様に、十分に特定された局面でのみ登場する制度である。このような限定性をどのように評価するかは、大陸法系において信託が基本的に抑圧されてきたのはなぜかという謎にからむ大問題であるが、この点の解明は将来の研究に委ねざるを得ない。
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