2007 Fiscal Year Annual Research Report
保険契約法の立法と保険募集-私法における情報提供規制の位置づけとその役割
Project/Area Number |
19730069
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 道生 Shizuoka University, 法務研究科, 准教授 (60334950)
|
Keywords | 保険募集 / 情報提供義務 / 保険契約法 / 立法 / 保険募集規制 |
Research Abstract |
この度の保険法の立法化に向けた法制審保険法部会における「要綱案」のとりまとめに向けた検討作業のなかで、保険契約募集時における保険者あるいは保険募集人の情報提供義務に関わる規定の新設が検討された。そこでは規定の新設を了解事項としてその内容の具体化が議論されたわけではなく、保険者側の情報提供義務を保険契約法の枠組みのなかで規律していくこと自体の是非が焦点となった。これは、この論点が保険業法との交錯領域にあること、さらには消費者契約法、金融商品販売法、金融商品取引法の諸立法、私法上の一般法理にも関わりをもつことによる。 このような審議伏況を前提に平成19年度の研究においては、交付申請書の研究実施計画にもとづき、保険募集における情報提供義務のわが国の保険法立法における位置づけ、また、関係するその他の法律、私法上の法理の果たしうる役割についてどのように評価していくかということを課題とした。より具体的には、これに関連する研究成果(平成19年度日本保険学会大会報告、この報告については「保険契約法の現代化と保険募集における情報提供規制」保険学雑誌599号97頁参照)のなかで、法務省「保険法の見直しに関する中間試案」に至るまでの法制審保険法部会等の議論をふまえ、まず、保険法において情報提供義務に関する規律を設げる必要性について検討し、つぎに、規律を設けるとした場合にその内容上生じうる問題点について論じた。さらに、今回の保険法の立法化の作業において最終的に情報提供義務に関する規律を設けず、今後も保険業法における規制を維持するという選択がなされた場合における、その役割や課題について保険契約者保護に向けられた最近の規制の進展を意識しつつ民事法理との関係を中心に考察した。
|