2010 Fiscal Year Annual Research Report
保険契約法の立法と保険募集-私法における情報提供規制の位置づけとその役割
Project/Area Number |
19730069
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 道生 静岡大学, 人文学部, 准教授 (60334950)
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Keywords | 情報提供義務 / 電子取引 / 保険募集 / インターネット |
Research Abstract |
これまで保険販売の方法は、保険仲介者(損害保険代理店等の保険募集人)を通じた形態によるものが主流であったが、最近では保険販売の方法が多様化し、顧客がインターネットのみを通じて契約締結に至る購入プロセスを完了する手続のしかたも保険分野によっては顕著である(自動車保険などの分野ではそのような手続が加入方法として選択され、利用者の広がりを見せている)。これは、(1)顧客自らが保険商品を理解するうえで保険募集人による対面販売の形式と遜色ないだけの商品内容の情撮提供、説明に関する規制が整備され、また、(2)モラルリスクの排除に関して保険募集人に期待される役割が相対的に低い分野であって、保険者の危険選択にとって必要な情報がインターネットによる保険契約者側の申告を通じても容易に得られるのであれば、インターネットのみを介して契約締結までのプロセスを完了しうることを示している。本年度の研究実施にあたっては、このような保険販売方法の多様化の進展を受けて、「インターネットによる保険販売の規制と情報提供義務」損害保険研究72巻4号49頁以下を発表した。この論考では、インターネットのみを通じて実質的に契約締結手続を完了する保険取引(ここでは、保険会社自らがいわゆる保陳性商品を直接、顧客に通信販売する場合(「直扱い」)を念頭におく)が成り立つために、保険者の情報提供に関してどのような保険監督法上の規制が存在し、また、裁判例では個別具体的な事案のもとで保険者の民事法上の情報提供義務に関していかなる判断が下されているのか、それぞれ保険募集人を介した対面方式による取引形態との比較を意識しつつ、その特徴を明らかにし、保険監督法上の規制および民事法上の情撮提供義務にとって望ましいあり方について検討を行った。
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