2008 Fiscal Year Annual Research Report
相続法における私的自治の原則および平等原理の再検討
Project/Area Number |
19730075
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
青竹 美佳 Kagawa University, 法学部, 准教授 (50380142)
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Keywords | 相続 / 遺留分 / 家族法 |
Research Abstract |
本年度は、研究費によりミュンヘン大学で約一ヶ月の研究活動を行った。本年度の研究目的である、ドイツの相続法における、公益目的の財団設立と遺留分の対立をめぐる理論の構築を目指し、同大学にて、膨大な資料の収集をし、翻訳作業に取り組んだ。これに基づき、公益目的の事業と遺留分権の対立構造について、ドイツの議論状況をまとめ、分析した。この成果を公表するための論文を執筆中である。その際、遺留分権の憲法上の位置付け、および財団設立時における財産の出損の法的意味という基礎的な論証にも関連付けて本テーマを考察している。公益目的の財団設立と遺留分の対立構造を研究する過程で、営利目的の事業と遺留分の対立構造にも研究の範囲を拡げ、両者を比較検討することが有益であるとの考えに至り、現在は、後者の部分を中心に研究を進めている。4月下旬から5月上旬を目途に論文を完成させ、成果を民商法雑誌に掲載する予定である。 遺言の自由とならんで遺言信託および事業承継の遺留分による妨害が、実務上および理論上問題になっているわが国の状況で、相続法理論に新たな観点を与えるものとして、本成果は重要な意味を持つ。
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