2010 Fiscal Year Annual Research Report
有毒物質への曝露による人身被害・環境損害の法的救済制度に関する比較法的研究
Project/Area Number |
19730077
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
大坂 恵里 東洋大学, 法学部, 准教授 (40364864)
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Keywords | 環境不法行為 / アスベスト / 土壌汚染 / 有毒物質 / 人身被害 / 環境損害 / アメリカ / 欧州 |
Research Abstract |
研究成果の内容として、(1)(1)アスベストの家庭内曝露に関する不法行為法理論の発展、(2)化学物質審査規制法の平成21年改正の背景となった国際的潮流ならびに欧州およびアメリカの動向、改正法の内容、(3)複数の企業による土壌汚染に関するアメリカ連邦最高裁判例と同判決が土壌浄化の法執行に与える影響を、それぞれ考察する論文を公表した。なお、この土壌環境の汚染と浄化に関連して、アメリカ環境保護庁が公表した「グリーン・レメディエーション戦略」を全訳し、環境省に提出している。(2)(1)日米法学会年次大会において、「環境不法行為訴訟の特徴と新たな動向」という表題で、アメリカの環境不法行為訴訟について、その特徴と、近年のパブリック・ニューサンス訴訟について焦点を当てた報告を行った。また、(2)アメリカ・シカゴで開催された法と社会学会年次大会において「アメリカおよび日本におけるアスベスト訴訟一比較研究」という表題で、(3)アメリカ・バークレーで開催されたショー・サトウ会議において「日本の環境および労働安全に関する法-最近の変化、司法改革およびその運動の影響、将来の展望」という表題で、報告を行った。(2)(3)とも、アスベスト問題への行政的、立法的、司法的対応を検討する内容である。 これらの研究成果は、共通して、有毒物質への曝露による人身被害・環境損害には実体法と手続法さらには政策論と立法論を有機的に関連させて対処する必要があることを示す内容になっている点に意義があると考える。とりわけ一部の成果は、現在進行中かつ今後さらに深刻化していくアスベスト公害に関連したものであり、この分野における研究資料として重要性があると考える。
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Research Products
(6 results)