2008 Fiscal Year Annual Research Report
株式会社の資本構成と株主有限責任制度の弊害・条件及び倒産法制との関係について
Project/Area Number |
19730078
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
後藤 元 Gakushuin University, 法学部, 准教授 (60361458)
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Keywords | 株主有限責任 / 資本構成 / 債権の劣後化 / 法と経済学 / 会社法 / 倒産法 / 企業再建 / 株式買取請求権 |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度の研究成果を踏まえ、株式会社の資本構成に関する個別の問題点について検討を行った。 まず、株主が会社に対して有する債権を会社の倒産手続において劣後化すべきか否かという問題の一局面として、粉飾決算が行われた場合の株主の会社に対する損害賠償請求権の劣後化につき、アメリカの連邦倒産法に関する議論を手がかりとした検討を行った。そこでは、この場合の劣後化の有無は、関係者の投資やモニタリングに関するインセンティブに大きく影響を与える可能性は低いが、一般の個人投資家の株式市場への参加を出来る限り促進するという政策を前提とした場合には、これらの者が被差別感をできるだけ抱かないようにすることにも意味がありうるという結論が得られた。 また、倒産に瀕した会社を再建しようとする場合、事業構成や資本構成を大きく変更する必要がしばしばあるが、その際には既存の少数株主の権利が十分に確保されることが必要である。そこで、事業再建に際して株式買取請求権が行使されたカネボウ事件について、DCF法の算式にどのような数値を代入すべきかという点にまで踏み込んだ検討を行った。 さらに、従来の会社法学においては債権者保護の手段として資本制度が重視されてきたことに関して、会社の設立・増資時に資本充実を確保するということが債権者にとってどのような意味を有するのかということを、資本充実が仮装された従来の事案における関係者の目的から分析し、株式の仮装払込みは債権者を騙すこと以外の様々な目的で行われていたことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)