2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730079
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
村田 典子 Kokugakuin University, 法学部, 講師 (80407171)
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Keywords | 倒産 / 民事再生 / 当事者主導 / 経営者 |
Research Abstract |
本研究は、企業倒産時における経営者責任追及制度のあり方につき研究するものである。2000年4月に施行された再建型倒産処理手続の一般法である民事再生法は、再生債務者に中心的役割を委ねると同時に、債権者に責任ある判断に求めるという、いわゆる当事者主導型の手続を採用している。企業倒産時に至って始めて経営者等の不正行為や経営責任が問題になることの多いわが国では、裁判所や手続機関が後見的な役割を果たすに留まる当事者主導を原則とする倒産処理手続の下で、誰が、いかにして経営者責任を問うのかを改めて検討する必要がある。 平成19年度は、まずは、当事者主導型倒産処理手続の母法ともいいうるアメリカ合衆国連邦倒産法第一一章手続を取り上げ、その現状と問題点の検討を行った。その結果、(1)かつては債務者寄りといわれていた第一一章手続が、現在では債権者に支配されつつあること、(2)従来は、会社が破綻すると、債権者や株主のプレッシャーの下、旧経営者はその職を辞し、事実上の責任追及が果たされていたこと、しかし、(3)債権者による債務者や倒産手続に対する支配力が強まるにつれ、企業破綻時における経営者の責任が曖昧になり、場合によっては、倒産手続中で経営者に対し多額の報酬が支払われる事態も生じていること、が明らかになった。これらは、会社の再建より事業の再生が重されつつあることにその原因があると考えられる。そして現在合衆国の倒産実務に生じている事態は、当事者主導型手続のあり方自体にも、大きな問題を投げかけている(同論文については平成20年度公表予定)。 経済社会と密接な関係を有する倒産処理制度の検討にあたっては、どのような法制度を構築するかと同時に、それが実際にどう機能しているかも視野に入れた検討を行うことが重要である。平成20年度は平成19年度の研究成果を基に、さらに具体的な制度研究を行う予定である。
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