2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報技術のイノヴェーション促進を主軸とした特許発明の開示要件に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19730088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平嶋 竜太 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (70302792)
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Keywords | 情報技術 / イノヴェーション / 特許法 / ソフトウエア関連発明 / 開示要件 / 明細書記載要件 / 特許要件 |
Research Abstract |
本研究の前提として、第一に、特許法一般の枠組みにおける発明開示要件の理論的意義と法的構造について、既往の学説によって解明された範囲についての調査研究を行った。その結果として、日本特許法における発明開示要件としては、「特許請求の範囲」(クレーム)に関するものとしてサポート要件、「特許明細書」に関するものとして実施可能要件に大別されるものとされているが、両者の要件それぞれの役割機能の関係性については必ずしも明確な考え方が存在していなかったものと考えられる。また、実務状況について概観した限りでも、発明開示要件は従来必ずしも大きな意味を有していなかったことが推察され、この点についてはさらなる調査研究を要するものと考えられる。第二に、ソフトウエア関連発明を中心とした情報技術分野におけるイノヴェーション促進のあり方を考察する前提として、ソフトウエア関連発明における創作の特許法による法的保護の現状について、日本、アメリカ、欧州について改めて検討を行った。これらの基礎的な調査研究を基にして、の一つの方向性として、特許法による保護対象の限定を緩和する反面で発明開示要件の充足を厳格化することの意義を検討した論考を公表した。 今後の研究計画としては、発明開示要件について、比較法的見地からアメリカ法及び欧州特許条約についての対応する諸概念についての比較研究も行うこと、及び、ソフトウエア関連発明等における特許出願における発明開示要件として、いかなる水準までを要求することが適切であるのかという課題、についての調査研究を進め、これらを踏まえて、所期の研究目的である「イノヴェーション促進を考慮したソフトウエア関連発明の特許法による保護のあり方」についての成果を提示することを予定している
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Research Products
(2 results)