2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村井 麻衣子 University of Tsukuba, 大学院・図書館情報メディア研究科, 講師 (80375518)
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Keywords | 著作権法 / 制限規定 / 著作権の制限 / フェア・ユース / fair use |
Research Abstract |
本研究は、米国著作権法の一般的な著作権制限規定である「フェア・ユース」に関する議論を題材とし、インターネットやデジタル技術が発展した現代おける著作権制限規定のあり方を検討しようとするものである。 今年度は、文化庁法制問題小委員会の「権利制限の一般規定ワーキングチーム」でなされた、いわゆる日本版フェア・ユースをめぐる議論の動向に注意を払いつつ、昨年度に引き続きフェア・ユースに関する議論の調査を主に行った。特に、制度論的・法政策学的な観点から一般条項の機能を指摘する議論や、著作物の私的利用をめぐる制限規定の意義に着目しており、現在も、文献の調査を進めているところである。なお、昨年度「著作権制度における権利制限規定に関する調査研究会」に参加させていただく機会を得てまとめた成果については、報告書の形で公表することができた。 また、今年度は、日本著作権法における制限規定の解釈について、要約引用の可否が問題となった「血液型と性格」事件判決の検討を行った。著作権法の条文の構造から、要約引用を認めることについては否定的な学説も多いが、引用についての制限規定の趣旨や表現の自由を確保する必要性から、要約引用を認めた判決の結論を支持する方向での解釈論を提示した。現在の制限規定のあり方では、表現の自由の観点からは問題があるだろうとの示唆を得ることもできたため、この検討をもとに、日本著作権法における制限規定のあり方の検討もさらに進めていきたい。
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