2009 Fiscal Year Annual Research Report
専門性による統治の確立:20世紀前半のアメリカにおける独立行政委員会制度の展開
Project/Area Number |
19730106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡山 裕 Keio University, 法学部, 准教授 (70272408)
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Keywords | 政治学 / 公法学 / 西洋史 / アメリカ / 行政学 |
Research Abstract |
研究課題の3年目にあたる本年度は、1914年の連邦取引委員会の成立を中心に、裁判所をモデルとして登場した独立行政委員会が、アメリカの行政国家の重要な特徴とされる司法化の傾向を生み出す役割を果たしたという観点から検討を行った。それによって、連邦取引委員会や、同じウィルソン政権下で成立した連邦準備制度理事会は、先駆的な独立行政委員会である州際通商委員会のみならず、それがモデルとした司法も参照しつつ検討されたことがわかった。従来、連邦レベルの独立行政委員会については州レベルやイギリスの独立委員会が起源であると漠然ととらえられていたのに対して、本研究ではそれが司法に起源を持つことを実証的に示したうえで、それがアメリカの国家建設に持った司法化という意義を具体的に提示しえるものになりつつあると考えている。年度の後半は、このテーゼに基づいてニューディール以降の行政機構再編をめぐる政治過程を再解釈する作業を行った。1936年のいわゆるブラウンロウ委員会による独立行政委員会への攻撃から10年後の行政手続法の制定までを、独立行政委員会の司法的な面がむしろ行政国家全体に浸透していく過程として描き出す道筋がみえたと考えている。年度末にかけては、2010年6月にオハイオ州コロンバスで開催されるPolicy History Conferenceでの報告に向けて、議論全体のアウトラインを英文のペーパーにまとめる作業を行った。会議での報告の後、そこでのコメントを含めて修正し、英文の学術誌に投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)