2010 Fiscal Year Annual Research Report
専門性による統治の確立:20世紀前半のアメリカにおける独立行政委員会制度の展開
Project/Area Number |
19730106
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (70272408)
|
Keywords | 政治学 / 公法学 / 西洋史 / アメリカ / 行政学 |
Research Abstract |
本研究課題は、アメリカ合衆国(以下アメリカ)においてなぜ各分野の專門家が政策形成過程で確固たる地位がを占めるようになったのを、それが確立したと考えられる20世紀前半の政治過程に着目して解明することを目的としている.研究の過程で、専門家による統治が、20世紀転換期において独立行政季員会という裁判所類似の、主に法曹を担い手とする機関に担われ、それが徐々に各分野の専門家に取って代わられる形で進んだことが明らかになった。 最終年度となる本年度は、大きく二つのことを目指した。第一は、革新主義時代に設置された代表的な独立行政委員会である連邦取引委員会の設置過程を、一次史料調査を行って実証的に検証することである。また第二に、19世紀末の州際通商委員会の設置から、1946年の行政手続法の制定にいたる半世紀強の期間について、独立行政委員会制度が確立し、アメリカの行政国家全体に「司法性」ともいうべき特徴を付与していったプロセスについて、現段階での見取り図を描くことを目指した。 このうち、連邦取引委員会の設置過程については、2010年夏にニューヨーク公立図書館で、関連する利益団体の文書を閲覧する等して調査を進めた。他方で全体のとりまとめについては、まず2010年6月にオハイオ州コロンバスで開催されたPolicy History Conferenceにて論文報告を行って、関係する研究者からフィードバックを得た。そのうえで、全体を120000字余りの論文にまとめた。今後はこの原稿を元に、各章を学術雑誌に発表し、最終的には書籍として公刊することを目指す。
|